あんコラム
「小豆ってこんなに美味いんだ」

和菓子には無くてはならない大切な素材である「あんこ」。最近では洋菓子やケーキでもあんこを使ったお菓子が増えており、世界的にも注目されています。

身近にあるけれど、実はとても深い「あんこの世界」。ちょっと知識を深めると、あんこの新しい美味しさに気付けるはず♪

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【あんこの起源】

日本では古来より小豆を食べる文化がありました。縄文時代の遺跡からは炭化した小豆の種子が発見されています。古来より赤い色は魔除けの色として邪気を払うとされ、赤い色をした小豆も、厄除けや魔除けとして食べられていたそうです(現代でもお祝いの日に赤いご飯「お赤飯」を食べますね)。

あん(餡)とはもともと「詰め物」を意味する言葉で、「お餅やまんぢゅうなどの食べ物の中に詰める具材」の事を指した言葉でした。中国菓子で用いられる「肉餡」(小籠包や餃子などの肉の詰め物)が飛鳥時代ころに日本に伝えられたと言われています。

その後、小豆と「餡」が融合し、薬膳として小豆料理が広まっていきます。しかしこのころはまだ今のような甘いあんこではなく、塩豆のような小豆を塩で味付けしたものでした。

↓現代でも薬膳として食べられている「小豆粥」↓

現代のような甘いあんこが食べられ始めたのは、室町時代になって茶道が広まってから。その後砂糖が一般にも普及し、甘いあんこが庶民の口に入るようになったのは江戸時代と言われています。小豆を食べる歴史の中でも、あんこは比較的新しいのです。

【小豆の栄養素】

小豆は小さいながらも豊富な栄養素がバランスよく含まれています。小豆には以下の健康効果が期待されています。

・食物繊維▶便秘解消
・ポリフェノール▶アンチエイジング
・鉄分▶貧血予防
・サポニン▶コレステロール低下
・ビタミンB1▶冷え性改善
・カリウム▶高血圧予防

↓アズキの花↓

【あずきってどんな植物??】

小豆はマメ科ササゲ属アズキ亜属に属する一年草(発芽から1年で成長~結実する植物)です。東アジアが原産と言われています。

名前の語源は「『あ』=赤、『つき・ずき』=溶ける」。他の豆よりも調理時間が短いことからそう呼ばれたようです。

日本国内で栽培される小豆の内、60%以上が北海道産です。北海道の他、丹波(兵庫県北部&京都府北部)、備中(岡山県)で多く栽培されています。

【あんこの種類】

小豆を主体としたあんこには、以下のような種類があります。

・粒あん
粒あんとは、小豆をつぶさないように炊いたあんこのことです。小豆の皮は炊いているうちに破れやすく、熟練の技を持つあんこ職人の手により炊きあげられた粒餡は、皮に一切の破れもなく、見事なまでに美しい粒が整っています。小豆本来の味は小豆の皮と実の間にあると言われ、粒あんは小豆本来のうま味とえぐみ、独特の風味が凝縮されています。

・こしあん
こしあんとは、小豆を炊いた後、小豆の粒を裏ごしして皮を取り除き、砂糖を加えて練り上げたあんこです。舌触りが非常になめらかな事が特徴です。

・つぶしあん
粒あんの粒をあえてつぶして炊き上げたあんこのこと。こし餡と違い、小豆の皮は取り除かずにそのまま入れます。つぶつぶした感じはありませんが、外皮が小豆の独特の味を残していますので、こしあんよりも小豆の味をしっかりと楽しむことができます。

・小倉あん
大納言などの大粒の小豆を蜜煮で甘くして、こし餡に混ぜて作ります。

小豆以外の材料で作ったあんこには以下のような種類があります。

・白あん▶白いんげん豆が原料
・うぐいすあん▶青えんどう豆が原料
・ずんだ▶枝豆が原料

この他にも、さつまいも・栗・かぼちゃ・ごま・落花生・バナナで作ったあんこもあります。

※ちなみに、日本の国民的キャラクター「アンパンマン」の中身は「粒あん」なんだそうです(公式情報)。

【たこまんのあんこについて】

たこまんでもあんこを使ったいろいろなお菓子をご用意しています。

・粒あん
→福豆大福、みつばちどらやき、栄西さん、柏餅(よもぎ皮・期間限定)、ぜんざい最中(期間限定)、あんバタークロワッサン(期間限定)、いちご餅(期間限定)、手作りぼたもち(期間限定)、etc

・こしあん
→たこまん、あまから団子、栗みそまんじゅう(栗の刻み入り)、あんじぇんぬ(ローストしたくるみ入り)、のんべえまんぢゅう、報徳の心(予約限定)、柏餅(お茶皮・期間限定)、etc

・引き皮入りこしあん(つぶしあん)→柏餅(白皮、期間限定)、etc
・白あん→栗まろん、大粒完熟いちご大福(期間限定)、etc
・みそあん(白あんにみそ入り)→柏餅(ピンク皮・期間限定)、etc
・芋餡→初甘藷(期間限定)

同じ種類のあんこでも作り方によって、やわらかさ・みずみずしさ・甘さなどが全く変わってきます。たこまんでは作るお菓子それぞれに合わせて、これまでに300種類以上のあんこを作ってきました。

【美味しいお菓子を作るために】

あんこの原料となる小豆は自然のものですので、栽培される地域、時期、気温の違いにより、固さ・大きさ・水分量などに違いがあります。

では、固さも大きさも違う小豆たちを同じ釜で一緒にあんこにしようとすると、どうなるでしょう?粒によって柔らかさも味も違う、ばらつきのあるあんこが出来上がってしまいます。そのような事が無いよう、同じ時期に収穫された同じ畑の小豆をまとめて仕入れるようにしています。

また、同じ畑で栽培された小豆も収穫された時期によって具合が変わってきます。そこは熟練のあんこ職人の経験と技により、火を入れる時間、砂糖を入れるタイミングなどを見極めて微調整することで、いつも最高に美味しいあんこに仕上げているのです。

あんこの奥深さを少しでも知っていただけたでしょうか?同じあんこでも、私たちたこまんが作るお菓子の中でも異なりますし、他のお菓子屋さんでも違いがあります。いろいろなあんこを食べ比べて、自分なりの好みのあんこを見付けるのも面白いですね。

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